こんにちは、小野です。
9月の振り返りを書いてから、一度もブログを更新することなく半年が経過してしまいました。 もともとは毎週、最低でも毎月ブログを更新しようとしていたことを考えると、かなり間が空いてしまったので反省しています。 そのうち、10月から2月の分についても記憶を掘り返して書こうとは思っていますが、留学を始めてから半年という節目を迎えたので、とりあえず半年間をまとめて振り返ってしまおうと思います。
研究
この半年間で最も時間を割いたのは間違いなく研究で、基本的に日中はずっと研究していました。 そのおかげもあって、日本で取り組んだ卒業研究よりも個人的には達成感のある研究ができました(実は卒論の研究も1年遅れで達成感を感じる出来事があったのですが、これについてはまた別の良いタイミングで報告できればと思います)。
まず、スイスでの研究はDISCO Groupという、分散システム・深層学習・ネットワーク理論を中心に研究しているグループに所属し、Semester Projectという形で研究に取り組んでいました。 Semester Projectというのは、日本で言う卒業研究に近いもので、研究することで一定の単位をもらうことができるプロジェクトです。 ETHではSemester Projectに取り組みたい研究室・研究テーマを各学生が探し、研究室にコンタクトを取ってから面談をするのが一般的な流れになっています。 その面談で、お互いの興味が一致しているか、研究に必要な知識・モチベーションがあるかを確認してから履修登録を許可されます。 私はこの研究室に以前から興味があったので、渡航前からコンタクトをとり、Semester Projectに取り組めることを確約してもらっていました。 この研究室から返信をもらえ、なおかつSemester Projectを割り当ててもらえたのは運が良かったと思います。 10箇所にメールを送って、やっと1通返信がもらえたという人もいるので、必ずしも自分が興味を持っている研究室で研究ができるわけではないようです。
Semester Projectで取り組む具体的な研究テーマについては、研究室の博士課程学生がもっているアイデアが上から降ってきて、そのアイデアに沿っていろいろと実装・実験を進めていくというのが最も一般的な流れです。 交換留学生がSemester Projectを履修する場合は、事前に設定した合計研究時間に応じて単位がもらえることになっており、1か月フルタイム(150時間/月)で研究することで5ECTSもらえます。 私の場合は他の授業も履修していたので、supervisor達のアドバイスに従って15ECTS (=450時間)のプロジェクトを約5か月間に分割し、約20時間/週だけ研究に取り組むということにしていました(が、なんだかんだ結局、この時間は優に超えて研究していました)。
私のプロジェクトでは、DISCOグループの博士課程学生2人がメインのSupervisorsとして面倒を見てくれる形で、毎週約1時間の進捗確認ミーティングがありました。 英語で進捗を報告したり実験結果や今後の方針について議論したりするのは、英語でのディスカッション験がなかった私にとって、かなり負担が大きく特に序盤はだいぶストレスでした。 Supervisorは2人とも英語よりもドイツ語のほうが得意で、普段はドイツ語で会話しているにもかかわらず、私のために英語で議論してくれていました。 ですが、その状況でもなかなか議論についていけず、自分の考えをうまく表現できないもどかしさ・申し訳なさを常に感じていました。 特に、11月ごろに実験が本格化していくのに伴い議論も複雑になっていく中で、自分の意見を全く言えずに心が折れたミーティングがありました。 私が提示した実験結果について議論していたのですが、議論がヒートアップするにつれ2人のペースに全くついていくことができなくなり、かといって議論を遮って聞き直すこともできず、私は15分くらい空気と化していました。 全く議論に参加できていなかった私のことを思いやってか、「何か話しておきたいことはあるか?」と、最後に聞いてもらったのですが、「特にない」としか答えられませんでした。 研究のために留学しているという側面があるにもかかわらず、研究の議論を怖がってしまっている自分を反省し、この一件以降は少しでも多く議論に参加できるように進捗報告の仕方を工夫するようになりました。 今もまだ英語力の壁を感じる機会は多いですが、議論への心持はだいぶ変わった実感があります。
ありがたいことに、このSemester Projectでは、私の研究成果や取り組み方などを評価していただき、最高評価である6をいただけました。 Wikipediaにとあるように、スイスで6をとるのは中々ハードルが高いと聞いていたので、研究へのモチベーションがかなり高まりました。 プロジェクト全体のフィードバックでは、研究遂行能力・研究成果については全く問題なく素晴らしいと言われたうえで、さらに改善できる点としてやはり英語のコミュニケーション能力を指摘されたので、今後も引き続き英語力を高めていこうと思っています (「ドイツ語話者が英語を勉強するよりも日本人が英語を勉強するのは難しいだろうし、すでに高いレベルにあるけど、強いて言うなら」という前置きのうえでしたが、自分でも日常生活の中でも英語でのコミュニケーション能力はまだまだ伸ばす必要があると感じています)。 また、ヨーロッパでは3か国語以上を使い分けて話せる人が多いので、私も英語力を向上するだけにとどまらず、そのうちドイツ語か中国語をしっかり勉強して、話せるようになりたいなと思っています。
今回のプロジェクトでの具体的な研究内容については、一部を論文にまとめて現在査読を受けている最中であり、その後さらにもう1本書く予定があるので、それらが終わり次第また話したいと思います。
旅行
ヨーロッパ留学の醍醐味のひとつはやはり旅行だと思います。 日本から旅行するよりも、お金も移動時間もかからないため、気軽にいろいろな国に遊びに行くことができます 私は、10月にドイツ(ミュンヘン)、11月にイギリス(ロンドン・ブライトン)、12月にスペイン(マドリード・サンセバスチャン・バルセロナ)とフランス(リヨン)、1月にオランダ(アムステルダム・ロッテルダム)、2月にポーランド(クラクフ・ワルシャワ)に行きました。 これだけ見るとかなり頻繁に旅行しているように見えますが、授業や研究の都合でほとんどの旅行は長くても3泊4日程度です。 ただ、スイスからの移動にあまり時間がかからないため、日数が少なくても満足度の高い旅行ができています。 日本にいたら、ここまで多くの国にはなかなか行きづらいと思うので、この留学期間をうまく利用して様々な国に行きたいと思います。
次の半年に向けて
留学をする理由として、「コンフォートゾーンから出る」ということを挙げる人が多いですが、半年も同じ場所に住んでいると、初めは新鮮なことばかりだった生活も「日常」になっていき、良くも悪くも刺激が減ってきています。 そのため、マンネリを防ぐために、次の半年の研究テーマはこれまでのものから大きく変えようと思っています。 また、これまでSemester Projectをやっていた研究室が主催する授業でTAをやることになっています。 同じく東大からETHに交換留学できている知人の中には、飲食店でのバイトに申し込んでいる人などもいて、皆それぞれが新たな挑戦をしているようです。
ここまでの半年は日本に残っていつも通りの生活していた場合よりも傾きの大きい成長曲線を描けていたと思います。 ここからの半年でさらに成長できるよう頑張っていこうと思います。